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禅がZENZENわからない人のための部屋

この漢字を見つめても「?」しか浮かばないどころか、だんだん「蝉」に見えてきてしまう…。そんな、「禅」についてなんの知識も持たないライターが、東京都世田谷区にある臨済宗(りんざいしゅう)のお寺、龍雲寺のご住職・細川晋輔(ほそかわしんほ)さんに素朴な疑問をぶつけてきました。「禅」と聞くだけで近寄りがたいものを感じてしまう方、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

聞き手・構成:小泉なつみ

  • 一 禅の部屋
  • 二 さらに奥の、禅の部屋
  • 三 お坊さんの部屋
  • 四 禅展の部屋
一 さらに奥の、禅の部屋
自分を見つめることって、いつでもどこでも、お金がなくてもできるからいいですよ。移動中のバスの中でできますから。
細川さんは、禅の楽しみってなんだと思いますか。
九州あたりに小旅行に行って旅館で目覚めた朝……みたいな非日常感が味わえることですね。
そこまでいけますか!どうすれば集中して己事究明できますか。今すぐトリップしたいです。
「数息観(すそくかん)」といって、自分の呼吸を数えてもらうのは基本ですね。呼吸を数えることに集中していくとそれがどんどん膨らみ、ほかの思考がどんどん押し出されてより切られて捨てられていく…そんなイメージです。なにかを得るためではなく、捨てるためと思ってやってもらうとわかりやすいかと。あと僕は、「幸せってどこにあると思いますか」といったような、禅問答を優しくしたようなお題を特別な坐禅会では出させてもらって、それに意識を集中してもらっています。
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自分を見つめるイメージ図

あの、禅問答の答えをひとつだけ耳打ちで教えてもらえますか。内緒にしますんで。
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駄目です。

禅問答は完全機密なんで、無理です。こういった秘密主義的なところは良くはない部分もあるとは思うのですが、それはラーメン屋の親父が秘伝のタレをインターネット上に公開しないように、本当にその道や味を極めたいと思っている弟子で、なおかつ下働きから一生懸命やってくれた人にレシピを託すような感覚と思って下さい。
ですよね。じゃあ秘伝のレシピ、禅問答回答集のありかだけでも教えてもらえないですか。
教えが書かれた本は存在しません。「不立文字(ふりゅうもんじ)」といって、文章では表せない真髄を心で伝えていく、以心伝心でずっと禅宗の教えを継承しています。
え…。でもそうしたら、誰かひとりでも伝言ゲームを間違えたらアウトですよね。
それがですね、「的的相承(てきてきそうじょう)」といって、この目の前にあるお茶を一滴も残さず別の湯呑みに移すように教えを継いでいくことが僕らのポリシーで、そこだけは死守しているので大丈夫なんです。「不立文字」っていうと難解な感じがしますけど、愛というものを伝えるために歌手の人がたくさんのラブソングを作ってきたことと同じように、我々も坐禅であったり禅画であったり、いろんな表現で禅の教えを布教していっているんですね。
なんとなくわかる気がします!でも毎日毎日自分を見つめる作業をしていて、ぶっちゃけ飽きませんか。
飽きることもあるかもしれませんが、その繰り返しなんですよ。さっき幸せはどこにあると思いますかって話をしましたけど、小泉さんはどこにあると思いますか。
ほうぼうを探し歩いていますが、まだ見つからないんですよ。
江戸時代の禅僧である白隠さんは、「白隠禅師坐禅和讃(はくいんぜんじざぜんわさん)」というお経の中で、幸せは自分の心の中にしかないと話しています。僕はこのお経が大好きなんですが、その最後にある「当処即ち蓮華国 此の身即ち仏なり」という言葉は、今自分が置かれた場所を最高だと思えたら、すでに幸せな人生を手にしている、という意味です。
たしかにいつでもどこでもハッピーでいられたら最強ですね。
私も白金高輪駅から歩いて1分のお寺はいいなあとかって思ってしまいがちですが(注:細川さんのお寺は駅から遠い)、今自分が与えられている場所をべストだと感じることこそ、幸せな人生なんですね。なのでみなさんも部下が使えないとか、上司とソリが合わないとか、会社の福利厚生がもっとよかったらと嘆くのではなく、現在の環境を楽しんでいただきたいと思いますね。
即今目前」もそうでしたが、禅って「今」を大切にする教えなんですねえ。
そうなんですよ!葬式や法事ばかりが仏教ではないんです。未来のことを考えて不安に駆られたり過去を悔いたりするんではなく、「今」なんです。前後を裁って切るってことで「前後裁断(ぜんごさいだん)」っていうんですけど、この生き方ができたら最高だと思いますね。
さらに奥の、禅の部屋でわかったこと!さらに奥の、禅の部屋でわかったこと!
  • 一 禅の部屋
  • 二 さらに奥の、禅の部屋
  • 三 お坊さんの部屋
  • 四 禅展の部屋

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