menu

展覧会によせて

各界でご活躍の皆様から禅展によせてコメントをいただきました。続々更新予定!
いとう せいこう 作家・クリエーター
プロフィール写真
禅世界を表現した多くの宝物が「お前が誰だ?」と問うてくる。茶碗も壁画も書も上人像も。
猪子 寿之チームラボ代表
プロフィール写真
本展会場において、禅をテーマにした映像作品の最新作「円相 無限相」を先行公開しているチームラボの代表、猪子寿之さんに本展や新作についてお話をうかがいました。
続きを読む

本展について

私は大学卒業後、20代半ばに3、4年ほど京都の禅寺に通い詰めていた時期があるのですが、その頃を思い出しながら拝見しました。
過去から現在につながっている禅の文化をこのように大規模な展覧会で見ることができるのは素晴らしいですね。

チームラボ新作「円相 無限相」について

禅における書画のひとつ「円相」をモチーフにし円や無限大が、「空書」によって永遠に書かれ続けています。
チームラボ設立以来、デジタル空間の中に書を書く「空書」という事を取り組んできたのですが、今回の新作はその延長線上にあります。
書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さのようなものを、新たな解釈で空間に立体的に再構築してます。
今回は、円や無限大をメビウスの帯のように180度ひねって書いており、表と裏の区別がないものになっています。
禅における書画のひとつである円相は、昔は空間に杖などで描かれていたそうなので、元々立体的なものなのだと思います。本作では永遠に円相が描かれては消え、描かれては消えを繰り返します。今この瞬間は、二度と見ることができません。
円相 無限相: http://www.team-lab.net/jp/w/enso/

禅についてまだ馴染みがない方へ

私は今、30代後半ですが、20代の半ばに禅寺に通っていた経験が今にすごく繋がっています。あまり難しく考えずに何でも見ておけば、今後の人生できっと何か糧になると思います。

スペシャル対談
山下 裕二明治学院大学教授 × 山口 晃画家
プロフィール写真
お二人ともに思い入れのある雪舟と、本展後期展示作品の中からイチオシの作品についてお話いただきました。
スペシャル対談を読む


国宝 慧可断臂図 雪舟等楊筆 室町時代 明応5年(1496)
愛知・齊年寺蔵|展示期間:11/8 〜 11/27

後期展示の目玉作品《慧可断臂図》について

山 下山口さんは小林秀雄賞を受賞された「ヘンな日本美術史」で《慧可断臂図》を描いた雪舟について詳しく述べられていますし、私も雪舟については数え切れないほど文章を書いてきたので、思い入れのある作品ですね。
この作品は愛知県常滑にある齊年寺の所蔵で普段は京都国立博物館に寄託されているので、たまに常設展示にも出ています。
簡単に説明すると、禅宗の初祖・達磨が面壁坐禅中に慧可という僧が入門を請うも認められず、自分の左腕を切り落として決意のほどを見せた場面です。どうですか、この絵の印象は?

山 口最初見た時は、ものすごくアクが強い、ちょっとやりすぎな印象を受けました。ただ、いい料理がそうであるように後味が非常にサッパリしていますね。

山 下確かにすごいインパクト!室町時代の水墨画としてはかなり異色です。これを雪舟が77歳で描いたというのが驚きです。
この絵は先程言ったように、慧可が左腕を切り落とした場面なのですが、2人とも不機嫌そうですよね(笑)

山 口達磨は明らかに困ってますね(笑)

山 下漫画のように吹き出しをつけるとすると、
慧可「腕、切ったんですけど…」
達磨「そ、そんなことされても…」
といった感じでしょうか。
私はこの絵が本当に好きで、以前出版した「雪舟応援団」という本の表紙で慧可に扮しているんです(笑)。ちなみに達磨は赤瀬川原平さんです。
この表紙を見てもらったらわかるように、絵と同じように見せるために少し顔を正面に振っているのですが、実際の横顔は《慧可断臂図》のようにはならないですよね。

山 口そうです、目の見え方が違います。ただ、2人の顔を写実的に描いたら、絵が発する圧が弱くなると雪舟は考えたのではないでしょうか。
雪舟は肖像画を描くときには写実的に描いていますから描けないわけではないのです。禅画を描くときには絵に対する意識が違っていたようですね。

山 下慧可の耳も変ですね。

山 口後ろから見た耳の見え方ですね。横顔を描いておきながら、目は正面、耳は後ろからの視点で描いているので、まるでキュビズムです。

山 下ピカソを先取りしていた雪舟!そういうことにしておきましょう(笑)。でも全図を引いて見ると違和感は感じないですよね。

山 口きちんとデッサンされた絵に、この横顔だと変に思うのですが、全体としてバランスがとれています。

山 下私は雪舟の絵は抽象に片足を突っ込んでいると言ったりするのですが、ある意味、世界初の抽象画家ですね。

山下先生のオススメ作品

山 下私が個人的に楽しみにしているのは、雪村の《呂洞賓図(りょどうひんず)》です。雪村の絵の中でも最も有名な作品ですね。呂洞賓の衣が揺れているは自ら気を発しているからなのです。よく見ると彼が持っている壺から出ている煙が龍になりかけているという非常におもしろい作品です。少し青みがかった墨で描かれていて、実物を見るとすごく綺麗な墨色なんですよ。
あとは、真筆が極めて少ない牧谿の芙蓉図も見逃せないです。


重要文化財 呂洞賓図 雪村周継筆
室町時代 16世紀 奈良・大和文華館蔵
展示期間:11/8 〜 11/27

山口さんのオススメ作品

山 口私は狩野元信の《旧大仙院方丈障壁画のうち 禅宗祖師図》です。余白の取り方に惹かれます。ある類型に沿って描かれてはいるのですが、元信独自の描き方で心持ちどこかバランスが崩れている、それがすごい空間的な広がりにつながっているんです。空間の虚と実を作り上げていくおもしろさを、元信の絵を見ると感じますね。

山 下元信はそれまでの世代の技法を全て自分の中に吸収し、整理整頓して次の世代に受け渡したんですよね。中世から近世への結節点にいる美術史的に最も重要な画家の一人です。

雪舟、雪村、牧谿、狩野元信の作品は、ここで挙げていただいた作品以外にも出品されています。他にも国宝、重要文化財の作品がたくさん出品されている特別展「禅―心をかたちに―」に是非お越しください。


重要文化財 芙蓉図 伝牧谿筆 
中国・南宋時代 13世紀  京都・大徳寺蔵
展示期間:11/8 〜 11/27


重要文化財 旧大仙院方丈障壁画のうち 禅宗祖師図 狩野元信筆 室町時代 永正10年(1513) 東京国立博物館蔵
展示期間:11/8 〜 11/27

スペシャルインタビュー
羽生 善治将棋棋士、三冠(王座・王位・棋聖)
プロフィール写真
禅語「洗心」を色紙に揮毫されている将棋棋士、羽生善治三冠に、対局に向かう心構えについてうかがいました。ビジネスや普段の生活でも大変参考になるお話です!
インタビューを読む

聞き手心のけがれを洗い浄めるという意味の禅語「洗心(せんしん)」を、羽生さんはいつごろから色紙に揮毫されていますか?

羽 生実は私は禅の教えに詳しいわけではなく、「洗心」が禅語だということも知らなかったのですが、もう10年以上前からですね。他にも色々な言葉を書いたりしますが、「洗心」を書く機会が一番多いと思います。

聞き手「洗心」を揮毫されている理由を教えてください。

羽 生将棋の対局中の邪念や雑念、気持ちの葛藤を消し去り、クリアな状態で勝負に挑みたいという私の理想を表す言葉だったからです。とは言っても、その状態に至るのはなかなか難しいですね。「洗心」は遠い目標です。

聞き手「洗心」のために常日頃から心がけていることはありますか?

羽 生自分にとって無駄なものは周りに置かないとか、余計なことは考えないようにするといったことでしょうか。まぁそうは言っても考えすぎて煮詰まったりすることはあるので、そんな時は気分転換に片付けや掃除をしたりします。掃除をしながらでもボンヤリ考えてはいるのですが、意識を掃除に向けている時にいいアイデアがパッと浮かんだりすることはありますね。部屋は綺麗になるし、一石二鳥です(笑)。
それから、眠ることも非常に大切です。眠って起きればとりあえず一旦リセットできますから。
あと、私は人間に備わっている“忘れる”という便利な機能を意識的に使うようにしています。考えすぎというよりは記憶によって苦しめられることがあるので、その記憶を忘れるように努めますね。忘れることによって気持ちが切り替わって前向きになれるような気がします。最近では加齢で自然と色々忘れていきますけど(笑)。

聞き手禅では坐禅を組んで、呼吸に集中して雑念を払いますが、呼吸を意識されることはありますか?

羽 生意識的に、ではないのですが、対局中には息を止めていることが多いですね。息を止めることによって集中力を維持し、脳を効率的に動かすことができるような気がします。
息を止めると言えば、映画「グラン・ブルー」でも有名なダイバーのジャック・マイヨールも禅の教えを取り入れていたそうですが、深く潜る時に必要なことは、考えないことだというようなことを言っていましたね。考えると体内の酸素を余分に消費してしまうそうです。

聞き手なるほど。羽生さんは知らないうちに禅の教えに近いことをされているのかもしれないですね。

羽 生多分それは禅が実践的な教えだからではないでしょうか。戦国武将のブレーンが禅僧だったことからもわかるように、禅宗では、戦に勝つために生きるか死ぬかという大変な状況に置かれた時に有益な考えかたができるように導くのでしょうね。私も将棋の対局で勝ったり負けたりしながら、どうしたら勝てるのかということを考えていくうちに、自然と実践的な禅の考えかたに近くなってきたのかもしれません。

聞き手展覧会でも、第3章では戦国武将と禅僧の関わりがわかるような展示になっています。是非ご覧ください。本日は貴重なお話をありがとうございました。

為末 大 男子元陸上競技選手・スポーツコメンテーター・タレント・指導者
プロフィール写真
現役中、最も良い走りをしたレースの最中は、体を動かしているという意識はなく、観客の声も聞こえず、静かな中で勝手に動いている体にひたすらに身を任せているような感覚だった。レースが終わって_______
続きを見る
リンク
田中 美里 女優
プロフィール写真
毎日の中で穏やかに過ごそうと思っても傷つく言葉を耳にしたり、思うようにいかなくてイライラしたり、そんな時に深呼吸して_______
続きを見る
リンク
田口 ランディ 小説家
プロフィール写真
ふだんづかいのお茶わんみたいに禅を楽しめたらいいな。今の日本の禅はめったに使わない抹茶茶椀みたい。形式はあってもいいけど_______
続きを見る
リンク
松尾 たいこ アーティスト・イラストレーター
プロフィール写真
「禅ってむずかしそう」そう思っている人って多いのではないでしょうか。私もその一人でした。でも「禅」について学んでいくと_______
続きを見る
リンク

ページトップへページトップへ